D5で6年ほどやりくりしてきましたが、撮像素子の世代も変わり、階調表現の幅が広まったり、ボディ内手ブレ補正の恩恵が受けられるようになったりと使い勝手が向上したこと。さらに、D5の弱点である画素数の少なさが、相対的に画素数の多い機種が主流になったことで厳しくなってきたため、同じメーカーのZ9に乗り換えました。
同一メーカーとはいえ、マウントの乗り換えを含む大移動となりましたので、財布は爆発四散しました。XQDからCFexpress typeBへの移行費用は痛かったぞ(ガチで)
で、表題のファーストインプレッションですが、OVFからEVFへの移行は簡単ではないという結論です。
EVFはEVFの良いところもあるのですが、やはり暗いと色の再現性が落ちます。色が見えない状態で撮影するので、個人的にはめちゃくちゃ怖いです。
OVFは暗くとも人間の目で見るぶんだけの色乗りは保証されるようなものですが、EVFはファインダーに色を乗せるのに苦労している印象です(お手持ちのスマホの明るさを下げていくと、色が見えにくくなっていくのと同様です。)
そして、発売時から言われていたノイズの問題。これはZ9というカメラの根本に関わる部分で、45MPの撮像素子を高速で読み出すことが要求される以上、現時点の技術ではファームウェアアップデートでは大きく改善することはないでしょう。
とはいえ、ノイズ補完についてアルゴリズムやAIの研究が進むことで、効率よくカメラ内で後処理できるようになっていく可能性はありますし、後段の現像ソフトも進化するでしょう。
また、ノイズの乗りにくい撮影スタイルも確立されていくはずです。
Z9のノイズの乗り方の傾向はD5と大差なく、フィルムグレインと似た黒い点が画面の暗部に集中するイメージです。このノイズはD5ではAdobe Light roomでの処理でそれなりに消しやすかったのですが、画素数が増えたためか、まだAdobeの解析が追いついていないのか、Z9ではD5より頑固に残る傾向があります。
このノイズが酷くなる条件を探したところ、撮影時の露出がアンダーだった場合に顕著であることがわかりました。また、私の使い方だと、アンダーな写真が量産されることもわかりました。原因はどうやらハイライト重点測光の際にZ9がハイライト部の再現を頑張って、D5よりも白飛びを堪える感じの設定になっているからのようです。
D5では常にハイライト重点測光で撮っておけば、ハイライト側はカメラ任せ、撮像素子の暗所耐性の強さに任せて、現像時に露出を持ち上げてオッケーという脳死撮影ができたのですが、Z9ではそれは通用しません。
Z9が白飛びしちゃう〜と判断するスレッショルドが、D5よりもかなり高い明るさに設定されているようなのです。その結果、撮影データは明るさに余裕をとり、暗い側を圧縮したようなヒストグラムを描きます。
これが、ちょっとやりすぎでは? というくらい露骨でして、結果としてアンダーな写真が量産されるわけです。
Z9のアンダー側はとんでもなく階調(データ)が残ります。なんなら5段上げてもフルHD画質なら全然耐えてしまう程です。とはいえ、5段も上げたら当然ノイズは酷く乗ってきます。
そして、暗い部分を持ち上げれば、さらにノイズが目立ち、結局画質が落ちるというコースになるわけです。
この原因は、画像に色のデータが残っていても、増感時に生まれるノイズまでは撲滅できないためで間違いないでしょう。
※とはいえ偽色が出るわけではないので、データは十分に残っている感触はあります。
可能であれば、ハイライト重点測光に段階を設けてほしいところではあるのですが、人間側からの介入でも回避できます。それこそ、ハイライト重点測光を使わないという手段もありえます。
とはいえ、ハイライト重点測光は写真の打率に直結する設定です。そのため、いくつか回避方法を試行錯誤しているのですが、測光パターンは変えずに、露出補正で+1から2のあたりを攻めてみようかと思っています。
意図としては、ハイライト重点測光がよりセンシティブになった分、人間側で白く飛ばしてもいいよとカメラに教えてあげるわけです。
これでうまくいくといいのですが、はてさてどうなるやら。
なお、事前にめちゃめちゃ心配していた本体背面のボタン配置の刷新については、なんとなく思想がわかったので今は受け入れることができています。
もちろん違和感はあるのですが、Nikonが使いやすい配置を模索した結果なのは、長く触れば自ずとわかってくるかと思います。
ただ、縦位置で構えたときの背面ボタンの配置については、縦グリで構える人は発狂するかもしれないです。
わたしはグリップを持ち替えない派閥なので、ひとます安泰なのですが、持ち替えたときの各ボタンへのアクセスは割ときついです。
ホントはシャッターフィールの違いについても触れたいのですが、個体差なのか、グリップの角度などの持ち方の問題なのかわからないので、一旦棚上げにします。
以上、ファーストインプレッションでした。