しっぽをくるん

ぺらねこのにっき

絵本を買った

ここしばらく、漫画を重点的に読んでいて、ファンタジウムが足りなくなって来たので、劇エモを摂取するために子供の頃手に入れられなかった絵本を買ってみました。

児童館の図書室においてあった絵本で、題名は「がわっぱ」

その児童館には学童保育で預けられていたーというか、なんとなくここに行くんだよーみたいにいわれて通っていたんですが、そこそこ揃いのいい図書室があり、生まれる前の本とかも丁寧に手入れされていて、快適な読書空間だったのは幸運だったと思います。

 

図書室の規模の割に児童書の揃いが良く、良書との出会いが沢山あった場所です。

そのおかげで、スズキコージ画伯の「大千世界のなかまたち」(のちに大千世界の生き物たちとして復刊)とか、FGOで一躍有名になったバニヤン親方のほら話が含まれる「北米神話伝承集(書名失念)」とか、今回紹介する、たかしよいち(著)、斎藤 博之 (絵)の「がわっぱ」とか、多数の刺激的な書籍に出会えました。

 

「がわっぱ」は熊本の民話から採った九千坊という非常に魅力的な名前を持つかっぱが、うみを100年、陸を100年旅する話です。

九千坊はなにもない海で花びらに包まれて生まれ、海の気を吸いながらぐんぐん泳ぎ、育ち、仲間を増やします。

海の旅を休まず100年続けたのち、陸に上がろうとしますが、その土地を支配している長者に妨げられ、陸に上がるのを拒まれます。

この下りは本当に面白いので、手にとって読んでいただきたいのだけれど、出版されたのが1971年なので、なかなか手に入らないかもしれません。

すったもんだのあと、長者の妨害をくぐり抜け、かっぱたちは100年陸を旅して、高山の頂にたどり着きます。

その頃には仲間は九千坊に再び吸収され、旅の終わりでは九千坊ひとりきりとなり、最後にはきえてしまいます。

しかし、その翌日には山の頂に花びらが生まれ、九千坊が再誕することが示唆されて終わります。

 

読者は長者とのやり取りや九千坊の不思議な生い立ち、輪廻転生などをリズミカルで歌いだしたくなるような文章で読むことになります。さらに、日本画の生き生きとした、おどろおどろしくない、爽やかな力強いかっぱの大群を眺め、想像力を掻き立てながら、ページをめくって行くことになるでしょう。

僅かなページ数ですが、水と土に祝福された九千坊が、自由に動き回り、生き生きとしており、再読して改めて名作だなぁと思いました。

 

2006年に同じ題で別の内容の本が出ていますが、そちらもおいおい手に入れたいです。こっちは天狗と戦うとの由、これも面白そう。

懐かしい絵本に再会した話でした。